今回はタル沢右岸尾根を登り、日陰指尾根(ひかげざすおね)を下りました。以前に過酷すぎるタル沢右岸尾根へのアプローチにへこたれて撤退したルートです。
     タル沢右岸尾根は日原川とタル沢の出合からタル沢の右岸を南にせり上がり、てっぺんは山ノ神尾根と合流する標高1180m圏(以降、「標高」は省略)です。名前はテキトーですが周知されているタル沢尾根(タル沢左岸尾根)があるのでタル沢右岸尾根は、テキトーというよりは適正に近いと思うんですがいかがでしょう。どーでもいいか。
   日陰指尾根は狩倉山(不老山)をてっぺんにして北東に下って大沢地区の日原川と家入沢(いやいりさわ)の出合に没しています。登ったことはあるんですが下るのは初めて。せっかくなのでできるだけ下端を狙って下ってみました。
      
      
タル沢右岸尾根、日陰指尾根
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| ■コース | JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→日原橋→(1時間30分)タル沢→(30分)→タル沢右岸尾根→(2時間25分)山ノ神尾根合流→(1時間)狩倉山→日陰指尾根→(3時間25分)[GOAL]大沢バス停→JR青梅線奥多摩駅 (8時間50分) | 
| ■歩いた日 | 2024年3月30日(土) | 
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。
■JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→日原橋→(1時間30分)タル沢→(30分)→タル沢右岸尾根→(2時間25分)山ノ神尾根合流→(1時間)狩倉山
前回と同じルートで挑んでも文字通り同じ轍を踏むだけなので地形図を睨み、ビシッとルートを組み立てました。そこで、ふふふ、日原川とタル沢の出合に落ち込んでいる左岸の小尾根に目を付けました。この小尾根をダーッと下れば出合にかかっているという滝の落ち口を渡渉してタル沢右岸尾根の下端に取付けるのは自明の理。ただ問題は、そーとー大きな問題は小尾根の等高線のみっちり具合でした。という事前の目論見と予想だったんですが、、、。
   タル沢右岸尾根は取付いたら「こっちのもの」と思っていたんですが、大甘でした。ズルヌルのとんでもない急登で始まり、急登が終わったと思ったら岩崖登りの試練、なめていました。
 おはようございます。東日原バス停です。バス停の真ん前の階段からぐるーっと写真奥に向かって
おはようございます。東日原バス停です。バス停の真ん前の階段からぐるーっと写真奥に向かって 日原川に下っていきます。
日原川に下っていきます。 工事関係の告知板なんかがきれいさっぱり片付けられていました。
工事関係の告知板なんかがきれいさっぱり片付けられていました。 べこぺこたわむ鉄板の足場板をこわごわ渡ってきて
べこぺこたわむ鉄板の足場板をこわごわ渡ってきて そこそこしっかりした足場板を渡り、
そこそこしっかりした足場板を渡り、 日原川に架かる日原橋で
日原川に架かる日原橋で 日原川右岸へ。禁漁区のはずですが釣り人が無心に竿を振っていました。
日原川右岸へ。禁漁区のはずですが釣り人が無心に竿を振っていました。 前回はさらに先に進んだのですが今回はタル沢尾根、カラ沢尾根への登り口へ。
前回はさらに先に進んだのですが今回はタル沢尾根、カラ沢尾根への登り口へ。 枝打ちされた枝葉の積もった道を大きなくの字くの字で高度を上げ、
枝打ちされた枝葉の積もった道を大きなくの字くの字で高度を上げ、 タル沢尾根がすぐ右上に見えてきた標高620m圏(以降、「標高」は省略)あたりで
タル沢尾根がすぐ右上に見えてきた標高620m圏(以降、「標高」は省略)あたりで 反対側の左の道を進みます。かなりしっかりした道があったんで驚きました。
反対側の左の道を進みます。かなりしっかりした道があったんで驚きました。 モノレールにぶつかりました。前回はモノレールに沿ってここまで登ってきています。
モノレールにぶつかりました。前回はモノレールに沿ってここまで登ってきています。 モノレール沿いに道はしばらく続くんですが、
モノレール沿いに道はしばらく続くんですが、 あの岩でモノレールから直角にはなれてちょっと登って
あの岩でモノレールから直角にはなれてちょっと登って また水平な道になります。
また水平な道になります。 朽ちて道みたいになった桟道があったりもします。
朽ちて道みたいになった桟道があったりもします。 登ってきたモノレールをまたぎます。
登ってきたモノレールをまたぎます。 めざすタル沢出合からせり上がってきている小尾根に到着。鞍部から岩稜がもこりと盛り上がっています。あの向こうで激しく下っているはずに違いありません。
めざすタル沢出合からせり上がってきている小尾根に到着。鞍部から岩稜がもこりと盛り上がっています。あの向こうで激しく下っているはずに違いありません。 謎のしっかりした道をはなれ、鞍部に下ってタル沢に降りられそうな場所を探します。
謎のしっかりした道をはなれ、鞍部に下ってタル沢に降りられそうな場所を探します。謎の道はいつか尾根をからめて歩いてみようと思っています。『日原を繞る山と谷 (山旅叢書)』(真鍋健一 朋文堂 昭和17 89ページ)の地図に「至小菅大沢」とある点線だと思うんですがどうなんでしょう。
 正面にはばーんとタル沢右岸尾根の横っ腹が覆いかぶさっています。
正面にはばーんとタル沢右岸尾根の横っ腹が覆いかぶさっています。 岩稜も岩稜のすぐ右脇も勾配がキツすぎて無理。
岩稜も岩稜のすぐ右脇も勾配がキツすぎて無理。 さらに右に移動。植林との境い目を下れそうです。
さらに右に移動。植林との境い目を下れそうです。 タル沢の水面までは見通せませんがダメならダメでしょうがありません。下ります。
タル沢の水面までは見通せませんがダメならダメでしょうがありません。下ります。 下ってきて
下ってきて 岩壁に威圧されたりして
岩壁に威圧されたりして ゆるい傾斜を探しながら下り、
ゆるい傾斜を探しながら下り、 この先は下るというよりは落ちる、です。
この先は下るというよりは落ちる、です。 うろうろして右手の谷地形に活路を見出しました。けれどもこれまでの右へ右へのルート取りが後に徒となるとは気づきようがありませんでした。
うろうろして右手の谷地形に活路を見出しました。けれどもこれまでの右へ右へのルート取りが後に徒となるとは気づきようがありませんでした。 下ります。はるか眼下にタル沢の流れがちらりと見えます。
下ります。はるか眼下にタル沢の流れがちらりと見えます。 タル沢がはっきり見えるようになりました。
タル沢がはっきり見えるようになりました。 下ってきて
下ってきて ようやくタル沢に降りました。とはいっても沢はかなりえぐられていて水際まで5、6mの高さに立っています。
ようやくタル沢に降りました。とはいっても沢はかなりえぐられていて水際まで5、6mの高さに立っています。 下流側。ここで、「ん? 出合じゃないよね、ここ」と気づきました。タル沢はまだまだ流れる気まんまんで勢いのいい水音が深い谷に沿って続いています。
下流側。ここで、「ん? 出合じゃないよね、ここ」と気づきました。タル沢はまだまだ流れる気まんまんで勢いのいい水音が深い谷に沿って続いています。タル沢まで降りることができたんですがめざしていた出合より上流でした、の動画。
 スマホGPSで確認。想定した出合よりかなり上流に降りていました。下れそうな場所を探して右へ右へとズレてしまったようです。左岸を出合に向かってトラバース(山腹水平移動)します。崩落でのっぺりした山肌を足元を固めながらじんわりじんわり進みます。
スマホGPSで確認。想定した出合よりかなり上流に降りていました。下れそうな場所を探して右へ右へとズレてしまったようです。左岸を出合に向かってトラバース(山腹水平移動)します。崩落でのっぺりした山肌を足元を固めながらじんわりじんわり進みます。 まだまだ先がありそうです。
まだまだ先がありそうです。 デンジャラスさが増し、トラバースはあきらめて引き返してきました。右岸に移ります。
デンジャラスさが増し、トラバースはあきらめて引き返してきました。右岸に移ります。 土砂の流れをなぞってズリズルと
土砂の流れをなぞってズリズルと タル沢に降りました。
タル沢に降りました。 渡ってきて
渡ってきて 右岸の山腹に取付きます。出合まで下るのはかなり危なそう。
右岸の山腹に取付きます。出合まで下るのはかなり危なそう。 などと思っていると日原川と出合にかかっているタル沢の滝の落ち口が見えました。ちょっと悔しいですがこれでよしとし、ここからタル沢右岸尾根に取付くことにしました。
などと思っていると日原川と出合にかかっているタル沢の滝の落ち口が見えました。ちょっと悔しいですがこれでよしとし、ここからタル沢右岸尾根に取付くことにしました。 タル沢右岸尾根の稜線をめざしてそこそこキツいトラバースを続けます。
タル沢右岸尾根の稜線をめざしてそこそこキツいトラバースを続けます。 対岸には下る計画を立てていた小尾根が見えます。見える範囲ならなんとか下れそうですが、てっぺんの岩稜はデンジャラスすぎ。小尾根の左から回り込んだらどーなんだろー、などと思いながら
対岸には下る計画を立てていた小尾根が見えます。見える範囲ならなんとか下れそうですが、てっぺんの岩稜はデンジャラスすぎ。小尾根の左から回り込んだらどーなんだろー、などと思いながら 手足を使って斜めに登ってきて
手足を使って斜めに登ってきて タル沢右岸尾根の稜線に立ちました。
タル沢右岸尾根の稜線に立ちました。 尾根の下方はとんでもない傾斜で出合に下っています。
尾根の下方はとんでもない傾斜で出合に下っています。 上方もキツい勾配です。おまけに粘土質の地面はここ数日の雨のせいかズルヌル。キツい勾配とズルヌルがおさまったところで岩崖がドン。直登もできそうでしたが根拠なく右へ。
上方もキツい勾配です。おまけに粘土質の地面はここ数日の雨のせいかズルヌル。キツい勾配とズルヌルがおさまったところで岩崖がドン。直登もできそうでしたが根拠なく右へ。 回り込んでいくと岩かズルヌルの急坂かの2択に。岩を選んで登ってテラスでちょっと休憩。
回り込んでいくと岩かズルヌルの急坂かの2択に。岩を選んで登ってテラスでちょっと休憩。 対岸にはトボウ尾根がまっすぐこちらを向いています。碧落一洗。きょうはとてもいい天気です。
対岸にはトボウ尾根がまっすぐこちらを向いています。碧落一洗。きょうはとてもいい天気です。 岩稜の続きです。
岩稜の続きです。 登ってきて
登ってきて 見上げると稜線が横にシュッとしていて
見上げると稜線が横にシュッとしていて 右から登ってきた尾根と合流。660m圏です。
右から登ってきた尾根と合流。660m圏です。 合流すると左へくっと曲がります。
合流すると左へくっと曲がります。 曲がるとすぐにまた岩崖が立ちふさがっています。
曲がるとすぐにまた岩崖が立ちふさがっています。 まっすぐ登り足がかり手がかりがよさげなとこを這い上がっていきます。
まっすぐ登り足がかり手がかりがよさげなとこを這い上がっていきます。 登ってきて
登ってきて アセビなんかの灌木が繁る尾根になりました。
アセビなんかの灌木が繁る尾根になりました。 760m圏で右から登ってきた尾根と合流するもとくになにもなし。
760m圏で右から登ってきた尾根と合流するもとくになにもなし。 右手にタル沢尾根、カラ沢尾根、稲村岩尾根が見えて、タワ尾根も見えているのかな。
右手にタル沢尾根、カラ沢尾根、稲村岩尾根が見えて、タワ尾根も見えているのかな。 尾根はヤセて、シカの真っ白い尻がお立ち台の羽扇みたいに揺れながら尾根を駆け上がったと思ったらそのすぐ後にサルが左から右へ横切ったりもしました。
尾根はヤセて、シカの真っ白い尻がお立ち台の羽扇みたいに揺れながら尾根を駆け上がったと思ったらそのすぐ後にサルが左から右へ横切ったりもしました。 左手奥は山ノ神尾根です。ピークは989mの標高点でしょう。兇悪な岩崖を隠し持っているようには見えません。
左手奥は山ノ神尾根です。ピークは989mの標高点でしょう。兇悪な岩崖を隠し持っているようには見えません。 こちらは845mの標高点あたりです。なにもございません。
こちらは845mの標高点あたりです。なにもございません。 岩ゴツを越えます。
岩ゴツを越えます。 左右から尾根が登ってきていますが、なんだかはっきりしない地形です。
左右から尾根が登ってきていますが、なんだかはっきりしない地形です。 尾根はばーんと広がりました。テキトーに登ります。
尾根はばーんと広がりました。テキトーに登ります。 ぐーっと登ってきて
ぐーっと登ってきて 尾根はさらに広がります。
尾根はさらに広がります。 こう見えてもかなりキツい坂です。左から登ってきた尾根と合流します。
こう見えてもかなりキツい坂です。左から登ってきた尾根と合流します。 斜めに登ってきて
斜めに登ってきて 左からの尾根に乗り、登ります。
左からの尾根に乗り、登ります。 山ノ神尾根が近づいてきました。
山ノ神尾根が近づいてきました。 対岸は遠のきました。
対岸は遠のきました。 登ってきて
登ってきて 1170m圏で山ノ神尾根に合流。これにてタル沢右岸尾根はおしまいです。しんどいアプローチ、初っ端のズルヌル急登、岩崖を経てなんとか前回の雪辱(というほどでもないんですが、まっ積雪もあったことだし)を果たすことができました。
1170m圏で山ノ神尾根に合流。これにてタル沢右岸尾根はおしまいです。しんどいアプローチ、初っ端のズルヌル急登、岩崖を経てなんとか前回の雪辱(というほどでもないんですが、まっ積雪もあったことだし)を果たすことができました。 山ノ神尾根を登ります。すぐに岩山です。
山ノ神尾根を登ります。すぐに岩山です。 登りきるとおだやかな尾根道が続きます。
登りきるとおだやかな尾根道が続きます。 じょじょに勾配はキツくなり、
じょじょに勾配はキツくなり、 また岩山の出現です。
また岩山の出現です。 よじ登ってきて
よじ登ってきて 先に進むとすぐに
先に進むとすぐに こんな板が下がっていて
こんな板が下がっていて そのすぐ先の1286mの標高点あたりを過ぎます。
そのすぐ先の1286mの標高点あたりを過ぎます。 左手にこれから下る日陰指尾根が見えます。
左手にこれから下る日陰指尾根が見えます。 左手奥に狩倉山が見えます。これまで(2回ですが、ん、3回かな)は尾根筋をたどって右のピークを経由していたんですが、今回は律儀に尾根筋を歩く理由がないのでちょくせつ狩倉山をめざします。
左手奥に狩倉山が見えます。これまで(2回ですが、ん、3回かな)は尾根筋をたどって右のピークを経由していたんですが、今回は律儀に尾根筋を歩く理由がないのでちょくせつ狩倉山をめざします。 ゲートウェイの牛柄みたいな斜面を登っていきます。
ゲートウェイの牛柄みたいな斜面を登っていきます。 登ってきて
登ってきて 狩倉山の山頂に到着です。山ノ神尾根のおしまいです。
狩倉山の山頂に到着です。山ノ神尾根のおしまいです。 もう少し先に進むと石尾根の登山道との境にロープが張られています。1452mの標高点はこのあたりです。
もう少し先に進むと石尾根の登山道との境にロープが張られています。1452mの標高点はこのあたりです。次は日陰指尾根です。とんでもない試練に会うとも知らず、「あっ、大岳山が見えている」などと思いながらほうじ茶をゴクリと飲みました。