今回はサルギ尾根を登り、上高岩山北東尾根を下りました。
サルギ尾根は大岳山と鍋割山を結ぶ稜線の1067m標高点から南東に下り、養沢川と大竹沢の出会いに没している尾根です。かつては尾根上にある高岩山にちなんで高岩尾根と呼ばれていたこともあったようですが、いまではサルギ尾根が一般的です。
上高岩山北東尾根はサルギ尾根の上高岩山(1010m圏)あたりから養沢川に向かって北東に下っている短い尾根です。短いけれども地形図を見ると岩記号がぐしゃっと集まった岩の巣が2か所あります。今回の尾根歩きはこの2つ岩場の状況が鍵になるんじゃないか、と出発前に思ってはいたんですが、あまりに堅牢かつ禍々しい鍵でした。
※山や沢の名前は、『奥多摩』(宮内敏雄 昭和刊行会 昭和19)や『奥多摩 登山詳細図(東編)』(吉備人出版)などによっています。
※「標高」は省略しています。

サルギ尾根、上高岩山北東尾根
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| ■コース | JR五日市線武蔵五日市駅→[START]大岳鍾乳洞入口バス停→養澤神社→サルギ尾根→(1時間)大名子ノ頭→(1時間)高岩山→(40分)展望台→上高岩山→春岩山→中ノ沢ノ頭→(30分)芥場峠→(10分)尾根分岐(1067m標高点)→(20分)上高岩山→上高岩山北東尾根→(2時間30分)養沢川→林道御岳線→上養沢バス停→(45分)[GOAL]大岳鍾乳洞入口バス停→JR五日市線武蔵五日市駅 (6時間55分) |
| ■歩いた日 | 2026年1月17日(土) |
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。
■JR五日市線武蔵五日市駅→[START]大岳鍾乳洞入口バス停→養澤神社→サルギ尾根→(1時間)大名子ノ頭→(1時間)高岩山→(40分)展望台→上高岩山→春岩山→中ノ沢ノ頭→(30分)芥場峠→(10分)尾根分岐(1067m標高点)
サルギ尾根は取付くといきなりの急登です。先行きが思いやられたんですが、急登は短くそこそこメジャーな尾根らしく歩きやすい尾根道がつづきます。特徴的なのは断続的に現れる岩ゴツの尾根。デンジャラス感はなくテキトーなルート取りでよいしょよいしょと登れるので楽しいです。
高岩山を経て東面がどばーんと遠望できる展望台を過ぎたあたりから岩はふつりとなくなり、人通りの多い芥場(あくば)峠から登山道を離れて尾根上をたどると1067m標高点、サルギ尾根のてっぺんです。11年前に下ったことがあります。
おはようございます。武蔵五日市駅から上養沢行きの小さなバスに乗って大岳鍾乳洞入口バス停で降りました。バスの発車を待っていると奥多摩のトップガンMさんがひょいと隣に乗り込んできて驚きました。久しぶりの顔合わせです。千ヶ沢(ちがさわ)の破線で市道山に登り、通り尾根を下るというMさんとあまり話す時間もなく彼は沢戸橋バス停で降車。手を振って別れました。
大岳鍾乳洞入口バス停の目の前は養澤神社です。社殿の右横にサルギ尾根の取付き点があります。「バス停から取付きまで近い尾根大賞」のベスト10には余裕で入るはずです。社務所の濡れ縁を拝借して手ぬぐい、軍手、杖の正装に身を固め、
ビシッとした道標からサルギ尾根に取付きます。
急登です。坂というよりは段差の大きい階段状の登りがつづき、
鉄パイプの手すりが付いても急登は変わらず、
ぐんぐん高度を上げていきます。
妙な地形ですが左のヤセ尾根の上に踏み跡がつづいています。
ぐぐぐぐぐーっと登ってきて
右手から登ってきた尾根と合流すると
大名子ノ頭です。650m圏のピークです。
右から登ってきた尾根は中腹あたりに587mの標高点が設定されていて下端は柿平園地(閉鎖中)です。
大名子ノ頭から下って
登ると「ちょっとだけよ〜」と岩が顔見せ。
尾根には立派な道標が立っています。
右から登ってきた尾根と合流し、左へ。
なだらかな尾根がつづききます。
しばらくつづきます。『奥多摩』(前出)の「北秋川左岸の尾根その三」(118ページ)に表記されているオースンドはおそらくこのあたりだと思います。
登山道脇の炭焼き窯跡。天井さえつくればすぐに使えそうです。
なんとなく岩ゴツが始まりました。
なんとなくではなくどうやら本格的です。
危なっかしくないのでテキトーに登っていきます。
ぐーっと登ってきて
ぽかりと開けたピークに出ました。ここが高岩山の山頂かと思ったらそうではなく、まったくそうではありませんでした。
さらに先に進みます。
809mの標高点あたりを通過します。
岩ゴツ尾根がつづきます。
ハマグリみたいな大岩は右に回り込む道がありました。
道中。大岳山。
ややヤセのなだらかな尾根を歩いていくと
高岩山の山頂に到着です。920mの標高点が設定されています。
山頂
から
の
眺
め。ザックを降ろして休憩します。風はなく、暖かい日です。ペットボトルに詰め替えてきた紙パックの「雪印メグミルク 雪印コーヒー」をグビリと飲みます。ところでサルギ尾根という名前の由来ですが、日本山岳会東京多摩支部の山行記録から以下に引用させていただきます。
終戦間もなく、昭和20年代の前半のこと、大岳沢に群れをなして棲んでいた猿が時々、この尾根に出てきた。山仕事に出かけた人々が見て、猿が出てくる尾根だから猿来尾根/サルギ尾根と言い習わしたという。いつの間にか、その名が定着したそうだ。
サルギという木があるのかな、などと思っていたんですが猿来でした。へぇー、です。ただ、前出の昭和19年に刊行された『奥多摩』にはすでにサルギ尾根の名前が使われていました。終戦前からサルは来まくっていたのかもしれません。
ザックを担ぎます。行く手正面の稜線上に赤い竜宮城みたい(違うかな)な建物が見えます。展望台です。地形図を見ると標高差は80mほどしかありませんがずいぶん高い所に見えます。
高岩山からだーっと下って鞍部からくの字くの字で登っていくと左からの尾根と合流し、右へ。ひーこらと登り、
登り詰めると展望台です。左へ回り込みます。
展望台
からの
眺
め。晴天ですが黄砂の影響でしょうか、都心方向がいまひとつすっきり見えません。条件がいいと江の島やら房総半島まで見えるらしい。
展望台は壁面に沿ってコの字形に長いベンチ、中央にテーブルが設置されています。立食パーティーにぴったりのつくりです。いつもは持ってきてもそのまま持ち帰るわたくし製弁当を熱いほうじ茶とともに喫食します。「唐揚げ麦飯のり弁当」です。唐揚げ、ブロッコリー、千切りキャベツ、すべて昨夜の残りです。完食しました。ごちそうさま。弁当箱や水筒を片付けてザックを担ぎます。
弁当の図解です。
最後に高岩山をちらりと眺め、
展望台を出発。
下ります。この先、もうキツい登りはないはずです。
切り取られた道標の先が気になります。右に登っていくと
ロープで挟まれた道が2方向にのびていました。尾根を下っていく道は地形図の破線と合致しますが、左にゆるく下っていく道は謎です。で、右上が上高岩の山頂なんですが、まったく気づかずに登山道に戻ります。
登山道をはなれ、春岩山を通過し、
尾根上へ。
『奥多摩』(前出)の131ページにはこの山稜は昔の大嶽山登拝路で、養澤部落からつけられてあつたが、現在は利用する人もなく徒に荊棘のみ生ひ茂らせてゐる
と書かれています。石段は登拝路の名残なのでしょうか。戦前の荒廃ぶりを思うと「v字復活した尾根大賞」を贈ってもいいと思います。
中ノ沢ノ頭を通過します。
木間に奥の院を見ながら下っていき、
「尾根道・上高岩山」と書かれた道標を見て「上高岩山はどこだったんだろう」と思いながら先に進むと
すぐに芥場峠に到着です。いろんな方向からハイカーやトレイルランナーがやってきては去っていきます。けれどもサルギ尾根を下っていく人はいません。
芥場峠の先でサルギ尾根は左右を登山道に挟まれますが尾根上へ。
登ってきて
サルギ尾根のてっぺん、1069m標高点に到着。これにてサルギ尾根はおしまいです。背の低いアセビが茂っているばかりの地味な場所です。
鍋割山や天地山が見えているはずの西の方を眺めながらちょっと休憩。雪印コーヒーを一口飲んで上高岩山北東尾根をめざしてすぐに出発です。