奥多摩尾根歩き
除ケ沢右岸尾根

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今回は除ヶ沢(よげさわ)右岸尾根を登り、本仁田山(ほにたやま)東尾根を下りました。前回のチクマ山南西尾根の姉妹編です。
チクマ山南西尾根へのアプローチでワサビ田の上流の滝をワサビ田の手前から高巻いたことは「成」か「否」か、がどうにも気になってしようがありませんでした。ならば、「滝まで近寄っていったいどうなっているのかをビシッと見きわめよう」と決意の塊になっての再訪です。
けれとも滝を見て「じゃあ帰ります」ではあまりにもったいない話です。で、周辺で歩けそうな尾根といえば除ヶ沢の右岸尾根がいの一番に目につきます(左岸尾根はゴンザス尾根)。決まりです。
本仁田山東尾根は山頂から東へ西川に向かって下っている尾根です。西川に降りられたら、西川を下ってチクマ山東尾根と同じく西川林道の滝の下橋に着地しようという目論見です。途中で滝の下橋の上にあるらしい滝を見物するつもりです。 下山は西川林道をゆる~く下り、旧道を経由して古里駅まで歩く算段です。
前編「除ヶ沢右岸尾根」と後編「本仁田山東尾根」に分けます。このページは前編「除ヶ沢右岸尾根」です。
※『奥多摩町誌』(奥多摩町誌編纂委員会 編纂民俗編 奥多摩町 1985.3. 552ページ 国立国会図書館)に「除ヶ野は除ヶ沢から出た地名で「よげ」とは地勢峻嶮で通行困難なところ、除ヶ野はその沢の傍にある野の意」という記載がありました。前回の記事では「除ヶ野沢」としたんですが、今後は「除ヶ沢」で統一します。前回の記事はそのままにしておきます。
※「標高」は省略しています。
コース [START]JR青梅線奥多摩駅→(20分)除ヶ沢→滝の観察→(35分)除ヶ沢右岸尾根取→除ヶ沢右岸尾根→(2時間20分)大休場尾根との合流点→ゴンザス尾根の分岐点(1200m圏)→(1時間)本仁田山→(15分)本仁田山東尾根下降点→本仁田山東尾根→(1時間10分)西川の滝→(10分)滝の下橋(西川林道)→鳩ノ巣駅あたりから旧道→青梅街道→(1時間30分)[GOAL]JR青梅線古里駅
(7時間20分)
歩いた日 2025年5月26日(月)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

[START]JR青梅線奥多摩駅→(20分)除ヶ沢→滝の観察→(35分)除ヶ沢右岸尾根取→除ヶ沢右岸尾根


除ヶ沢右岸尾根は滝の検証に文字通り深入りしてしまい、取付に予定していた下流の橋まで戻るのがシンドくなりました。深入ったポイントから取付いたはいいけれど岩崖の苛烈でデンジャラスな這い上がりの連続です。それはもう、かつて下端の山ノ神から登った山ノ神尾根の岩崖に匹敵する冷や汗も凍る必死の登攀でした。

おはようございます。奥多摩駅です。
奥多摩町観光案内所の前からお稲荷こみちへ。
奥多摩ビジターセンター横から登ってきた道にぶつかると左折して踏切を渡り、氷川屏風岩尾根への道なんかを分けてゴニョゴニョと歩き、氷川小学校の裏を歩き、校庭の向こうに駅が見えて
奥多摩工業氷川工場の領域へ。この道は町道らしい。工場ゾーンを抜けるといきなり山道の雰囲気になって
曳鉄線を見下ろし、
曳鉄線と曳鉄線の下を流れる除ヶ沢のワサビ田を見下ろすと
すぐに除ヶ沢に架かる鉄橋です。
チクマ山南西尾根の滝の高巻きが「成」か「否」を見極めるために除ヶ沢を遡上します。左岸のモノレール沿いの踏み跡をたどります。
前回の過酷なトラバースを避けてモノレールを追いかけます。この交差点、下のモノレールは確実に廃線ですよね。
上流の鉄橋が見えてきました。
橋を渡り、ワサビ田に到着です。前回は奥に見える滝を巻くために右手の斜面に取り付きました。滝に近づきます。
むむ、です。右岸のモノレールに沿って踏み跡が見えます。ヌメッとした岩にへばり付いたトラロープが踏み跡へと誘っています。うーむ、いきなり「否」だったような物証に動揺しつつ、さらに滝に近づきます。
滝は思ったより小ぶりでした。かなり。けれども沢登りの素養がないわたくしが越えるのは無理。
と思ったら左岸にロープ発見。へつりをサポートしてくれて滝を越えられそう。
越えました。次の滝です。今度こそ進むのは無理。
引き返します。
右岸のトラロープをつかんで
モノレール沿いの道? みたいな道をたどり検証をつづけます。この道が消失していれば前回の高巻きは「成」ということになります。まっ、いまはそんなことよりこの道みたいな道がどうなるのか興味津々です。
傾斜がキツくてのっぺりしたトラバース(山腹水平移動)ですがモノレールがあるのでビビリ度は軽減されます。
除ヶ沢は小さな滝が連続しているようです。
歩いてきた道は小尾根の乗越し点でハサミの先みたいに鋭くなって消えました。「ここまで」と思ったんですが上を走るモノレールの向こう側に踏み跡があるような。這い上がります。
小尾根を越えると消失した道のつづきが現れました。山とモノレールに挟まれながら復活した道に降ります。
対岸に見覚えのある涸れ沢です。前回はワサビ田の手前から左岸を高巻いてあの涸れ沢を下ってきてこの場所に立ちました。かかった時間は1時間20分、今回はトラロープからここまで15分。とほほ、です。もう一回、とほほ。「否」としか言いようのない結末です。けれども「正解なんてないのが尾根歩きの面白さなわけで」などと思いながらちょっと休憩。
とほほ、ではあるんですが、スッキリ感もあります。そして僥倖。除ヶ沢右岸尾根の取付きは下流の鉄橋のちょっと先あたりと算段していたんですが「引き返すのはシンドいなあ」と思い、スマホGPSをチェックしてみました。なんと、いま立っている場所は除ヶ沢右岸尾根の尾根筋のほぼ下端じゃないですか。
これを僥倖といわずして、です。なにか見えざるものの采配でしょう。違うかな。まっ、いいです。取付きます。踏み跡まであります。稜線に向かって登ります。
小屋の残骸を過ぎ、
登ってきて
除ヶ沢右岸尾根に乗りました。
植林の中の単調といえば単調、堅調といえば堅調な急登がつづきます。
登ってきて
尾根上にエアーズロックみたいな(見たことないけど)岩崖が立ちふさがっています。
左が巻けそうです。
いつまでも尾根上に戻りそうにないのでここを這い上がることにします。
這い上がってきて
這い上がります。「ははぁーん、これが580mあたりの岩記号か」などと思っていたんですが、こんなのは序の口も序の口、鬼畜な岩崖登りが嫌というほど続くことは知る由もないのでした。