奥多摩尾根歩き
三宝川左岸尾根、アタゴ尾根、築瀬尾根、桑ノ木沢二俣中間尾根

(1/4 森沢左俣左岸尾根)


今回は三宝川左岸尾根を登り、アタゴ尾根を下り、築瀬尾根(つくぜおね)を登り、桑ノ木沢二俣中間尾根を下りました。いずれも奥多摩の東に位置して登山客の多い日の出山に近い、三室山(みつむろやま)や高峰あたりの尾根です。三宝川左岸尾根桑ノ木沢二俣中間尾根はテキトーな名付けです。尾根の場所の説明は以下の地図にまかせます。
今回の尾根歩きは前回のゴール「つるつる温泉」で忘れた杖を奪還(勝手に忘れただけで奪われたわけではないんですが)するために練ったルートです。練ったといっても地形図や『奥多摩 登山詳細図(東編)』(吉備人出版 以下、『詳細図』)を眺め、いい感じに疲れた頃に杖奪還ができればいいな、とテキトーに尾根をつないだだけです。そんなテキトー尾根歩きなんですが、なかなか楽しかったです。
コース [START]JR青梅線日向和田駅→(25分)三宝川左岸尾根取付→三宝川左岸尾根→(1時間30分)琴平神社→(30分)三室山→アタゴ尾根(愛宕尾根)→愛宕神社奥の院→(1時間5分)御岳神社→吉野街道→(25分)築瀬尾根取付→築瀬尾根→(1時間50分)高峰→(10分)桑ノ木沢二俣中間尾根下降点→桑ノ木沢二俣中間尾根→(50分)不動沢林道→車道→(30分)[START]つるつる温泉(杖奪還)→JR武蔵野線武蔵五日市駅
(7時間15分)
歩いた日 2023年3月11日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

[START]JR青梅線日向和田駅→(25分)三宝川左岸尾根取付→三宝川左岸尾根→(1時間30分)琴平神社


三宝川左岸尾根は文字通り三宝川という川の左岸尾根なんですが、前回、三室林道と萱尾(かやお)林道を歩いたときに右手にずっと見えていた尾根です。梅郷(うめさと)地区南端の住宅街から取付き、てっぺんは琴平神社(元金毘羅大権現)としました。地形図の実線や破線をたどる尾根歩きですが、線が途切れるポイントが2か所あるという、「ソソられるけれど大丈夫?」みたいな尾根だったんですが、「無線地帯」はそれなりの理由がありました。

おはようございます。日向和田(ひなたわだ)駅を出ました。「東京アドベンチャーライン無人駅総選挙2022」で第1位を獲得した駅です。吉野梅郷の復活を願う応援票があったのでしょうか。御嶽駅(2位)や鳩ノ巣駅(3位)を抑えての1位です。
青梅街道を奥多摩に向かって少し歩き、多摩川に架かる神代橋(じんだいはし)を渡り、
吉野街道を渡ってそのまま直進し、
突き当りを左へ。「梅の公園」東口を右手に見て梅の咲に挟まれててくてく歩きます。
「鎌倉街道」と書かれた標柱や竹林寺という寺を過ぎ、住宅街のほぼ南端です。この奥が匂います。
林の中に道が続いています。敬礼をするロングスカートの貴婦人のような影はカメラを構えたわたくしです。
林の中に入ると正面の山腹を登る道と左の涸れ沢沿いの道に分岐しました。めざす三宝川左岸尾根は左方向です。沢沿いへ。
すぐにこんな藪です。
藪を抜け、崩落地の手前で沢を越えると、
三宝川左岸尾根の稜線が見えてきました。テキトーに近づいていくと
左手からやってきた踏み跡にぶつかり、そのままたどります。
尾根に乗りました。
尾根の下方。
踏み跡はどんどん曖昧になり、尾根を巻いていきそうだったので尾根を直登します。細くしなやかな枝木が行く手を阻みます。
こんなところを腰を折ってグーッと登ってきて
標高300m圏(以降、「標高」は省略)で尾根は平坦になったんですが、藪がちなのは相変わらずです。
切り株がずらりと並んだヤセ尾根を歩きます。
やや急登になり、
おだやかになり、
320m圏の破線と破線の交差点です。踏み跡を横切るとすぐに
346mの標高点あたりを通過します。なにもないよね、と思っていたら標高が書かれた木札が下がっていました。この標高点から先が破線が途切れる「無線地帯」の1つめです。
地形も複雑です。尾根は3方向に分岐していて、進みたいのは左の尾根です。「無線地帯」は直線距離で50m弱と短いんですが、標高差は30m近くあり、
薄い踏み跡をたどると
とんでもない急降下です。これでは線を引くのはためらわれるでしょう。もし線を引くと、「こんなの道じゃないでしょ」とか「コケてしまった。どーしてくれる」などとクレームの嵐は必至、なわけないか。
そんな「無線地帯」を下ってきて
「無線地帯」をもう少し下ると、伐採地のへりを歩くようになります。
左手下に「青梅きのこガーデン」の建物がちらりと見え、
右手の伐採地の向こうには青梅丘陵都県境尾根が見えている、のでしょうか。
フェンスが尾根を横切ります。支柱と支柱の間にピンクの識別テープで四角い印が付けられています。扉でした。支柱を結んだロープを解き、くぐって、結び、
がくんと下って登り返して尾根の続きを歩きます。
幅広の作業道やフェンスに沿った尾根上を歩き、
左手下に林道が見えたりしていると、
扉があって支柱を結んだロープを解き、くぐって、結び、
ずーっとあちらから歩いてきて、
330m圏で森林帯に入ります。
350mあたりで右から登ってきた実線のある尾根と合流。道らしきものは見えませんでした。
ほぼ平坦な尾根道を歩いてきたんですが、左手下に林道がよく見える場所に来ると
いきなりの急登です。ここから「無線地帯」の2つめです。直線距離で約80m、標高差は約50m。
左手を撮影してみました。めちゃくちゃな急登です。ここも線を引くわけにはいかなかったのでしょう。
登ってきて
破線のある尾根上に乗りました。
おだやかな尾根道が続きます。青梅市の二級基準点が埋設されていました。
そこそこの急登があったりもしますが、先程の「無線地帯」に比べると両方に失礼かな。
登ってきて平坦になったんですが、すぐ先に壁のような山腹が見え、
崖のてっぺんに社が建っています。山腹を斜上していくと
琴平神社(元金毘羅大権現 地形図は金比羅神社)でした。これにて三宝川左岸尾根はおしまいです。
戦前、この地域は養蚕が盛んで蚕や繭を食い荒らすネズミを退治してくれるネコの焼き物が奉納されていたそう。現在も商売繁盛を祈願して招き猫が奉納されている、と案内板にありました。社をのぞくとたくさんの招き猫がこちらをじっと見ていました。
招き猫たちがながめる先には多摩川沿いの町並みがずーっと遠くまで見渡せました。
次は、三室山からアタゴ尾根を下ります。