奥多摩尾根歩き
長尾谷右岸歩道


今回は長尾谷右岸歩道(ながおだにうがんほどう)を歩きました。それだけです。長尾谷右岸歩道は林道倉沢線(りんどうくらさわせん 以下、倉沢林道)の先に延びている道です。実は長尾谷右岸歩道の先の2つの尾根を歩く予定だったんですが、長尾谷右岸歩道の終端だと思われる場所からさらに長尾谷の上流を目指し歩いている途中で、どーにもこーにも体が動かなくなってしまいました。重い疲労感と軽い頭痛と吐き気。熱中症かな、と思いましたが、原因は昨夜の飲酒か睡眠不足か、まっ、それらの三つ巴でしょう。
ザックと腰を下ろして長尾谷の流れを眺めながらボンヤリしていると徐々に回復。もう少しで尾根の取り付きなので先に進むかどうするか悩みましたが、体調が不安なまま歩いても楽しくないので撤退することに決めました。そうなると時間はたっぷりあります。ゆっくりゆっくり沢沿いの道や高巻く道を引き返しました。倉沢林道を歩き、倉沢バス停に着く頃にはほぼ完調に。バスの時刻に余裕があったので川乗橋バス停まで歩き、奥多摩駅に戻りました。
駅周辺は奥多摩納涼花火大会でたくさんの屋台が並び大賑わいでした。ちなみに歩く予定だった2つの尾根は左又窪左岸尾根(ひだりまたくぼさがんおね)と仙元尾根(せんげんおね)という尾根です。早期の再挑戦を心に期し、缶ビール片手に屋台を冷やかして歩くわたくしでした。
※歩き方は『バリエーションハイキング』(松浦隆康著 新ハイキング社刊)、『水辺と山径』(Webサイト)、Mマップなどを参照させていただきました。
※この日、立川駅でM氏と久しぶりに遭遇。またまた貴重なMマップをいただきました。ありがとうございます。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]倉沢バス停→倉沢林道→(1時間)棒杭尾根取り付き→(20分)林道終点・長尾谷右岸歩道(シオジ窪出合い)→(1時間10分)右岸歩道終点→(30分)左又窪と浅間前ノ窪の出合い手前[撤退]
歩いた日 2019年8月10日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]倉沢バス停→倉沢林道→(1時間)棒杭尾根取り付き→(20分)林道終点・長尾谷右岸歩道(シオジ窪出合い)→(1時間10分)右岸歩道終点→(30分)左又窪と浅間前ノ窪の出合い手前[撤退]


長尾谷右岸歩道はココはアブナイ! と感じた場所が何カ所かあります。けれども沢床に下りると右岸から左岸へ、また右岸へとテキトーに歩きやすそうなルートを選ぶ面白さがあります。

おはようございます。倉沢バス停です。わたくしと若者1人が下車しました。
ほんのちょっと引き返し、倉沢林道に入ります。
ギュッとなった看板。
倉沢橋の向こうは以前に歩いた神庭尾根です。
絶対に当たらない、と言えないところが怖いところ。
倉沢林道には5つの橋が架かっています。1つ目の宮下橋(みやしたはし)を渡ります。
倉沢谷の光に輝く小さな滝や
岩肌をチョロチョロとジャージャーの間くらいで涼しげに流れ落ちる水を狙ってもなんか全然うまく撮れません。
2つ目の橋、八幡橋(はちまんはし)を渡ります。
もったいない、と思うくらいあちらこちらで水が流れ落ちています。
3つ目の橋、鳴瀬橋(なるせはし)を渡ります。
ああキレイだな、と思うところを撮っていると切りがないです。
あれや
これは倉沢鍾乳洞なのでしょうか。かつては霊場として、後に観光地としてとても栄えていたそうです。
幕岩を通過します。
幕岩から見下ろした倒木。切り替え画像は2014年11月のほぼ同じ場所の写真。4年半でチョッピリ減った感じです。
遠景に4つ目の橋、魚留橋(うおどめはし)です。
前を歩くのは倉沢バス停で一緒に降りた若者で、最初は付かず離れずだったんですが、途中からくっついてあれやこれやと話しながら歩いてきました。写真が趣味できょうは棒杭尾根のヤマザクラを見るのが目的だそう。魚留橋で休憩するというのでわたくしは先行しました。
魚留橋から見える滝。魚留ノ滝という滝でしょうか。
魚留橋を過ぎるとこんな感じになり、
崩落地を通ります。
崩落地。この藪の中に2つのルートがあります。右奥の谷間には切り替え画像のような大きな滝が流れ落ちています。五段滝という滝のようです。
崩落地のちょっと先からの景色。
路肩弱し、で
最後の5つ目の橋、地蔵橋(じぞうはし  ちそうはし 2019.08.18修正)の手前で林道は大崩落、ほんのちょっぴりしか残っていません。
先に進みます。
対岸の高ーいところから流れ落ちている滝。
棒杭尾根との分岐に着きました。左上に延びるのが棒杭尾根への取り付きで、倉沢林道は激しい崩落で痛めつけながらも正面奥に続いています。ここでザックから軍手と杖を引っ張り出し、靴紐を締め直しました。
モタモタ身支度をしていると若者が追いつき、挨拶を交わして別れました。どーやら彼はわたくしも棒杭尾根を歩くと思っていたようです。だから魚留橋でわたくしを先行させてくれたんじゃないでしょうか。ハッキリ行先を伝えていれば気を使わせなくてすんだな、と反省しています。アディオス! 写真が趣味の若者!
谷側がゴッソリ抉れている道が頻出します。
こういう場所もありますが、
どちらかというとゴッソリ道が優勢です。
下流方向を振り返ってみたところ。
ゴッソリ道ではなく、山側から土砂が押し寄せて林道を覆ってしまったモッコリ道もあります。道中、こんな赤テープが続いていました。
渡れない橋。
谷に下りる階段がありました。おそらくここが倉沢林道の終点だと思います。そして、左に長尾谷右岸歩道が始まります。
谷に下りてみました。
左岸にシオジ窪という沢が流れ込んでいます。これはシオジ窪の上流方向です。シオジ窪右岸尾根という尾根歩きが『バリエーションハイキング』(前出)に紹介されています。
「11 | 10」の林班界標が立っていました。奥に見えているのが長尾谷の上流方向です。
階段まで戻り、長尾谷右岸歩道を歩きます。
谷を高巻くように道が続いています。
ドンドン高巻きます。
ドカーンと高巻き中です。
苔むした石垣に守られながらホントですかというほど高巻きます。
左上隅に見えている茶色い筋は歩道を守っている木杭です。
高度を下げ始めると、高さはないけれど元気いっぱいな滝と小さいけれど深そうな淵を見下ろして、
歩道はどんどん谷に近づいて長尾谷の沢床まで下ります。その先に道らしい道はありません。ここからは下調べで判然としなかったルートです。
Mマップによると対岸に点線(ルート)が延びていて「支流を少し登ると左に道」と記載がありました。支流は陽の当たっているあの谷のようです。
長尾谷をジャンプし、対岸の支流に向かいます。
支流の上流はこんな感じ。
ホントにこの沢でいいのかな? と思いながら上流に向かいます。
ちょっと登ると両岸に赤テープがありました。
左(右岸)の赤テープの先には道が見えました。あそこまで這い上がるのにそこそこしんどくチョッピリ怖い思いをしました。
這い上がった先にはこんなしっかりした道がありました。
先に進むと行く手に橋が見えます。
確かに橋ですが、これは渡れません。ジャック・バウアーだろうがジョン・マクレーンだろうが尻込みするはずです。「渡るならギャラアップだぜ」と凄むはずです。
ギャラをもらえない素人のわたくしはちょっと先に歩いてみます。ありがたいことに谷に下りる道がありました。
楽に徒渉できました。ジャック・バウアーやジョン・マクレーンの尻込みした橋が切り替え画像の赤い枠内にあります。
右岸を進みます。
高巻きます。
画面中央やや上にかなりの角度で石垣で守られた道が登っています。
くの字くの字でどんどん高巻きます。
しっかりした桟道を渡ったりもします。
こんな岩の下を歩いたりもします。
踏み跡の薄ーい山道が続き、
940m圏で道が分岐します。谷の上流に向かう右をチョイスし、
こんなところを歩きます。左の2つの岩の間に道が通っています。
ここも道です。そこそこ危ないです。
あんなところに谷が見えています。
970mあたりの分岐。下る方をチョイス。
どんどん下ります。
こんなノッペリにも程がある道をなんとか通過します。
広々とした沢床に下り立ちました。
どーやら長尾谷右岸歩道はここが終点のようです。ここにも「11 | 10」の林班界標が立っていました。ちょっとバテたというか体が重い感じです。水を飲み、塩飴をなめながら15分ほど休憩です。
ヨッコラショという感じで上流に向かいます。
右岸、左岸、右岸と縫いながらテキトーに歩いて行きます。どんどんズンズン体が動かなくなっていきます。
そしてとーとー1010mあたりのここで足が止まりました。体がゆーことを利きません。あと10分も登れば左又窪左岸尾根の取り付きだと思うんですが、撤退です。
撤退以降の顚末は上に書いた通りです。川乗橋バス停まで辿り着いたわたくしは小さいベンチに腰掛けてバスを待っていました。山ガールが川乗林道をぞくぞくと下りてきます。山ガールたちの会話をBGMに、行き交う車をボンヤリと眺めていたら右の肩甲骨の上の方に鋭い痛みを感じました。イタっと思わず叩くと、親指の先ほどの茶色いハチがビューッと川乗谷に向かって飛んでいきました。刺されて2日ほど経ちますが、刺されたところはチョッピリ腫れ上がってかなり痒いです。撤退面にハチ、です。トホホ。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。またおじゃまします。