奥多摩尾根歩き
長尾丸山北尾根

(2/2)


標高796m→運命の分岐(?)→(1時間50分)道路→「龍神淵(有間大渕 有間川)→有間渓谷観光釣場→名栗湖右岸道路→有間の湧水→有間ダム→(1時間30分)[GOAL]さわらびの湯→ノーラ名栗・さわらびの湯バス停→西武鉄道飯能駅


長尾丸山北尾根の後半です。
有間川に近づいた610m圏の分岐は東西どちらに下るか、出発前から決められずにいたポイントです。西に向いた尾根のほうが等高線の間隔がやや広く安全そうなんですが、尾根筋と思えるのは東向きの尾根。結局、現場で東を選択。この選択がとんでもない苦難を呼び込むことになりました。「ここを登り返すことになったら絶望的だなぁ」と思いながら増水した(多分)有間川の轟音とも言える音に包まれながらキビシい勾配をじわりじわりと下っていくのでした。

750m圏で尾根はいきなりダラ〜ンとしました。漢数字の「一」(だと思う)と書かれた板が木にくくりつけらていたんですが、続く数字は見かけませんでした。
下ってきました。振り返ると右にも尾根が下っていて、分岐があったことを知りました。長尾丸山北尾根はあまり分岐を気にすることなく下れます。
660mあたりで尾根の両側が植林になり、勾配は緩みました。ちょっとヤセてもきました。
さらにヤセてきました。尾根上に雑木が続きましたが、
やがて植林に囲まれた歩きやすい道になりました。
610mあたりの分岐です。右か左か出発前から決めかねていた分岐です。左(西に向いた)の尾根のほうが等高線の間隔がやや広く安全そうなんですが、尾根筋と思えるのは右の尾根。「うーん、やっぱり尾根筋かな」と右の尾根を選択。
右の尾根です。そこそこの急降下です。
左の尾根。こちらのほうが歩きやすそう。
右の尾根を下ってきて
下ります。急降下です。有間川の音が大きく聞こえてきます。
ヤセ尾根になりました。
なんだかデンジャラスな雰囲気です。両側は深く鋭く切れ落ちていて有間川の音が不気味な効果音になってせり上がってきます。
尾根上の岩をひとつ越え、
下ってその先に小さなピークが見えます。先が見えません。
見えないはずです。ピークの先はこれでもかっ、というほどに切れ落ちていました。この切れ落ちは地形図からはわかりません、と思います。
左に見えていた尾根にトラバース(山腹水平移動)してきました。
とんでもない急降下です。自身の恐怖感に気付かぬよう、じんわりじんわり下ります。
有間川の激しい流れが見えてきました。あそこに降りられるのでしょうか。薄〜く絶望感に包まれます。ダメなら登り返すしかありません。想像するだけで絶望感の冷水を浴びます。
ヒヤヒヤしながらチマチマとしたルートファインディングとルーツファインディング(根っこ探し)で下ってきて、
最後の2m近くはズリーっと仰向けでほぼ垂直に滑り落ちてしまいました。草を掴んでいた右腕がグイーンとのばされて肩がちょっと痛いほかは無傷。ラッキーです。コマネチの10点なみの着地です。下ってきた崖を見上げました。無事に降りられた安堵感からなのか恐怖感の名残のせいか、かなり手ブレしています。
有間川に降りた地点の正面。左に小さな滝があり、激しい水流です。深さもそこそこありそう。
対岸の崖を這い上がれば道路です。けれどもこのポイントはデンジャラス。下流まで流されることはないだろうけれど水流に押されて倒れる、なんてことはありそう。
小さな滝の上流側にも偵察に行ったんですが渡れそうな場所はなし。これはちょっと下流側。
さらに下流へ。ここは川幅は狭いんですが、水流がギュッと絞られる直前で水流は速く水深もかなり深そう。
結局、小さな滝の勢いが弱まったあたりを渡渉。靴下を押し込んだ靴を靴紐で結んで首にかけ、水に入りました。氷のように冷たい、かと思ったらそうでもなく、尖った石を踏むたびに「痛い痛い。痛いちゅーの」などと声に出しながら、
渡渉を終えました。靴を履いていると足がポカポカしてきて足湯にでも入ったような気分になりました。
これにて長尾丸山北尾根はおしまいです。
崖を這い上がってきました。正面が長尾丸山北尾根の下端です。名栗湖に向かいます。
そう言えば、と龍神淵を探して有間川を覗き込みながら歩いているとそれらしき場所が見つかりました。
「有間大渕 龍神宮」と彫られた(見えませんがネットで見ました)碑も確認できました。
道標を通過します。龍神淵に近づくにはまた渡渉する可能性があるのでパス。
時々、有間川の激しい流れを覗き込みながらてくてくと歩きます。
有間渓谷観光釣場が見えてきました。
名栗湖の右岸道路を歩いています。擁壁に「On The Road」と書かれた階段が設置されています。商品名でしょうか、センスがあるのかないのか、微妙な名前です。ジャック・ケルアックの『On the road 路上』はわたくしの愛読書です。どーでもいいか。
ずーっと向こうに対岸のクマタカを狙う超望遠レンズの放列がありました。
要塞のような崩落地跡とカヌーの桟橋。
「有間の湧水」に立ち寄りペットボトルに水を汲みました。
バイクでできたかのような有間ダムを渡ります。
さわらびの湯に到着。きょうはずっと曇天でした。
大広間で風呂上がりのビールです。決死の急降下、ズリ落ち、裸足の渡渉、乾杯!
ノーラ名栗・さわらびの湯バス停です。飯能駅行きのバスが威風堂々と転回します。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。一時はどうなることやらと肝を冷やしましたが無事に下山できました。これに懲りず、また、よろしくお願いします。