奥多摩尾根歩き
吉祥寺尾根

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今回は吉祥寺尾根を登り、ワクギ沢左岸尾根を下りました。
吉祥寺尾根は檜原村本宿の吉祥寺と檜原城跡を結び、760m圏でバケモノ山尾根と合流して浅間尾根の840m圏をてっぺんにする尾根です。檜原城の背後を守る急峻な山の先は採石場になっていて尾根は消失。かつての尾根の様子はわかりません。ただ、その残滓というか残り香を追っての尾根歩きです。
ワクギ沢左岸尾根は前回に下った浅間尾根840m圏北尾根の西隣りの西隣の尾根で、松生山(まつばえやま)から北東に下ってワクギ沢と瀬戸沢(せどさわ)の出会いに没しています。
3回連続、4回めの浅間尾根の東部の支尾根です。この山域で気になっていた尾根はとりあえずおしまいです。バケモノ山尾根バケモノ山南尾根バケモノ山南東尾根、今回の吉祥寺尾根で4部作の堂々の完結です。って知らんがな。
長めの記録なので前編「吉祥寺尾根」と後編「ワクギ沢左岸尾根に分けます。このページは前編「吉祥寺尾根」です。
※「標高」は省略しています。
コース JR五日市線武蔵五日市駅→[START] 本宿役場前バス停→(5分)吉祥寺尾根取付(吉祥寺山門)→檜原城跡(檜原城山)→吉祥寺尾根→(30分)檜原城跡→(3時間20分)浅間尾根840m圏→浅間尾根→払沢ノ峰→(35分)松生山→ワクギ沢左岸尾根→(1時間20分)瀬戸沢→(35分)浅間林道→(40分)[GOAL]払沢の滝入口バス停→JR五日市線武蔵五日市駅
(7時間5分)
歩いた日 2025年5月3日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR五日市線武蔵五日市駅→[START] 本宿役場前バス停→(5分)吉祥寺尾根取付(吉祥寺山門)→檜原城跡(檜原城山)→吉祥寺尾根


吉祥寺尾根は採石の終わった段丘の端っこを下り、登ります。段丘には樹木、草木が生い茂り、自然とヒトの生業が混じりあった不思議な空間の尾根歩きでした。檜原城山の背後にそびえる峻峰のてっぺんを越えると「もうこの先は無理」と何度も思ったデンジャラスな尾根歩きがつづきます。

おはようございます。武蔵五日市駅から数馬行きのバスに乗り本宿役場前(もとしゅくやくばまえ)で降りました。走り去るバスの上にこれから歩く吉祥寺尾根が左にぐーっと曲がっています。
バスを追いかけるように秋川を渡って檜原街道を左折するとすぐに「吉祥寺 南門」の山門です。最寄りのバス停は本宿役場前からひとつ先の吉祥滝みたい。まっ、いいです。この山門を吉祥寺尾根の取付とします。
吉祥寺。
堂と墓の間の階段をのぼります。女性ソロハイカーが先行しています。
「十三仏巡拝入口」のアーチをくぐります。
檜原城跡へ大きなくの字くの字で登っていきます。
十三仏の①は「不動尊」。
立派な道標が十三仏を案内しています。すべて巡るとかなり歩くことになりそう。割愛します。
東京都指定史跡「檜原城跡」に着きました。とくになにがあるわけではありませんが、見る人が見れば「都内に現存する中世城郭のうち、戦国初期の構造をよく残しており、歴史的・学術的にみて価値は高い」(現地に設置されている東京都教育委員会の案内板)らしい。
奥に進み、堀切を越え登ってきて
十三仏の⑬は「虚空蔵菩薩」。
さらに堀切を越えて登ってくると
449mの標高点が設定されている檜原城山のてっぺんです。地蔵尊(?)が安置されていました。先行していた女性ハイカーは城跡のあちらこちらをさかんに撮影して下山していきました。
『奥多摩』(宮内敏雄 昭和刊行会 昭和19 国立国会図書館デジタルコレクション)の118ページに記載された吉祥寺尾根です。檜原城跡は城主の名前をとった平山城址と名付けられています。
地蔵尊の裏へ回るとすぐに堀切なのか、がくっと下ってからキツい登りが始まりました。
岩ゴツになってきました。
平坦に見えますがそこそこの傾斜の岩を這い上がります。
登ってきて
必死の登りです。
520m圏でようやくおだやかな尾根になりました。
空が広がってきてその先は
採石場でした。尾根はなくなり足元は垂直というよりは抉れています。思わず後ずさり。
広大な空間の向こうの段丘の端をあのてっぺんまで登ります。
とんがった採石場の縁をたどって大きく左にカーブしていきます。危なっかしいお鉢めぐりです。
ときどきガッゴーンって油圧ショベルがダンプカーに岩を載せる音が聞こえてきます。
採石場の縁のてっぺんに「吉祥寺尾根採石残丘550m」と彫られた木札が落ちていました。
削り残された尾根というか、削られてできた尾根を下っていきます。
ヤセ尾根の急降下と
平坦なヤセ尾根が交互にやってきます。
かつては重機が行き来したに違いないブル道をいくつも横断します。
この先は切れ落ちています。「もうこの先は無理かな」と思ったんですが、試しに足元から左に下ってみると
採掘の資材がじっとしている平場でした。切れ落ちた崖を回り込めそうです。