奥多摩尾根歩き
ヨコスズ窪右岸尾根、ヨコスズ窪左岸尾根

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今回はヨコスズ窪右岸尾根を登り、ヨコスズ窪左岸尾根を下りました。
ヨコスズ窪は小川谷の支流カロー谷の上流部で左岸に流れ込んでいる谷なんですが、大規模な土石流で広大な荒涼としたガレ場になっています。このヨコスズ窪を右岸尾根ヨコスズ尾根左岸尾根で囲むようにぐるっと歩きました。カロー谷とヨコスズ窪の出合、ヨコスズ尾根上の2点を結ぶ三角形を描くルートです。
ところで『奥多摩 登山詳細図(西編)』(吉備人出版)に「煙窪」(けむりくぼ)と記載されている谷はどうやらヨコスズ窪だと思われます。以前からそーゆー話は聞いていたんですが、その根拠がよくわからないままほったらかしにしていました。今回、古い雑誌なんかをできる限り漁り、ヨコスズ窪の位置を探ってみてわたくしなりに「煙窪」は「ヨコスズ窪」だと納得するにいたりました。そのあたりの経緯は本文に記しました。
そんなこんなでヨコスズ窪をめざして荒廃しているとされるカロー谷経路に踏み入りました。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]鍾乳洞バス停→林道小川谷線→(25分)かろう橋→カロー谷経路→(1時間15分)ヨコスズ窪右岸尾根→(1時間35分)ヨコスズ尾根→(45分)道間違い→ヨコスズ窪左岸尾根→(1時間)カロー谷経路→(50分)かろう橋→(45分)[GOAL]東日原バス停→JR青梅線奥多摩駅
(6時間35分)
歩いた日 2023年9月25日(月)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]鍾乳洞バス停→林道小川谷線→(25分)かろう橋→カロー谷経路→(1時間15分)ヨコスズ窪右岸尾根→(1時間35分)ヨコスズ尾根


ヨコスズ窪右岸尾根は急登でできていました。地形図通りです。たんたんとキツい登りが続きます。薄い植林帯を挟んだ上下の雑木はまだまだ青々としているんですが葉っぱを揺らしていく風は冷んやりとしてなんとも心地よいものでした。カロー谷経路は高巻きが長いんですが素敵な道でした。

おはようございます。平日なのでバスは東日原ではなく鍾乳洞バス停が終点でした。小川谷橋を渡って右折。林道小川谷線を歩き、小川谷とカロー谷の出合に架かるかろう橋に到着。
橋を渡ってザックから杖や軍手を引っ張り出して、ちょっと迷ってチェーンスパイクを履きました。カロー谷沿いに進み、ハンギョウ尾根と水道施設に行く鉄板通路の間にあるカロー谷経路に踏み入ります。
通路を見下ろしながら歩き、
小尾根を回り込んでいると
あっという間にカロー谷は眼下になりました。
丸太の通せん坊がありました。気になります。谷沿いは丸太の向こうかな、と思ったんですがとりあえずくの字くの字のしっかりした道を選択。
ぐんぐん高度を上げます。高巻き度合いが大きいです。谷に戻れるのでしょうか。
ほぼ水平道になったりしてもやはり登りが始まり、
ようやく下り基調になって
谷が見えるようになると意外に谷は近く、
すぐに水辺に立つことができました。丸太を割った木橋の対岸に赤テープが下がっていますが、正面奥の大きな倒木をめざします。
この滝(おそらく忠三滝)を高巻くルートのひとつが赤テープなんですが、今回は倒木に沿って巻きます。
ガレて傾斜のキツい登りでした。
滝に向かって道があります。
落ち口の上に出ました。かつてここに橋があったようです。
落ち口から腕を精一杯のばして滝壺を撮影。
対岸に渡るとしっかりした経路が復活し、すぐに次の滝が見えてきました。経木小屋下ノ滝という滝でしょう。右から滝に下っている尾根はヨコスズ窪左岸尾根です。うまくいけばあそこに降りてくるはずです。
左岸尾根を回り込むと大量の土砂を覆う大量の倒木が見えてきました。
ぶ厚い土砂の上に立ちました。ヨコスズ窪の上流というか上の方です。
ヨコスズ窪右岸尾根です。ずっと奥に横たわっているのはヨコスズ尾根
手前からヨコスズ窪の小さ流れ、池のようになったカロー谷、池の奥に木橋が見えましたがこの写真ではよくわかりません。右奥の経木小屋跡もわかりません。
左は『奥多摩 : 登山地図帳』(奥多摩山岳編 山と渓谷社 1955)、右は『東京附近の谷あるき(マウンテンガイドブックシリーズ)』(朋文堂編集編 朋文堂 1957)からの引用したカロー谷の遡行図です。ほかにも参照しましたが、経木小屋下ノ滝とヨコスズ窪の位置関係、経木小屋(右図)とヨコスズ窪の位置関係からわたくしなりにヨコスズ窪の位置を確定しました。ぐっと新しく『奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート』(奥多摩渓谷調査団 山と渓谷社 1996)や『バリエーションルートを楽しむ』(松浦隆康 新ハイキング社 2008)でも、小屋跡との位置関係でここがヨコスズ窪なんだろうなと得心しました。
ちなみに古い書籍や雑誌はカロー「谷」ではなく、ほとんどがカロー「川」という記載で、カロー「川谷」も散見されます。

堆積した土砂の上に立ってカロー谷、ヨコスズ窪、ヨコスズ窪右岸尾根を見渡しました。
ヨコスズ窪右岸尾根に取付きます。
ヤセた岩混じりの尾根を登ってきました。
かなりの急登です。
左からヨコスズ窪右岸尾根の横っ腹、ヨコスズ窪、ヨコスズ窪左岸尾根の横っ腹。
お休み処みたいな狭い平坦地があったんですが、すぐに急登です。
さらに勾配がキツくなりました。
標高1100mあたりです(以降、「標高」は省略)。ヒノキの植林帯になりました。大きな切り株を通過します。
すぐにヨコスズ尾根西面水平歩道を横断します。
ゆっくり見上げないとむち打ち症になりそうな傾斜です。
1170mあたりでそこそこしっかりした作業道を横断。
1210m圏でも横断。
でっかい切り株。左上の切り口は鋸なのかチェーンソーなのか、人と木、両方に迫力があります。
尾根を覆った倒木の壁。左に大きく回り込みました。
ヒノキがなくなりブナ(多分)が目立つ尾根になりました。
あの先に空が見えます。
倒木をくぐり、
登ってきて
ヨコスズ尾根の稜線に立ちました。これにてヨコスズ窪右岸尾根はおしまいです。
ちょっと休憩し、お隣のヨコスズ尾根左岸尾根に向かいます。