奥多摩尾根歩き
忌山尾根、キリンボ尾根

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今回はヤケト尾根から忌山尾根を下り、キリンボ尾根を登り、石尾根を下りました。
天気予報では夕方あたりから雨または雪のはずでしたが10時前からヒラリハラリと降ってきて、ちょっとずつ強くなって、あっという間といったらウソですが、あれよあれよという間といってもウソですが、まっ、そんな感じで6、7センチ積もってしまいました。
キリンボ尾根は持ち前の鈍足とキビシい急登と積雪でとんでもなく時間がかかってしまい、予定していた稲村岩尾根ではなくそこそこ足元のしっかりしている石尾根を下ることにしました。19時くらいには真っ暗に。行程の半分はヘッドライトをつけての下山になりました。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→林道日原線→八丁橋→(50分)ゲート→(15分)日原川下降点→吊り橋→ヤケト尾根支尾根取付→(1時間40分)ヤケト尾根1247m標高点→忌山尾根→(1時間25分)巳ノ戸谷→キリンボ尾根→(4時間)稲村岩尾根→鷹ノ巣山→石尾根→(4時間10分)[GOAL]JR青梅線奥多摩駅
(12時間10分)
歩いた日 2024年1月20日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→林道日原線→八丁橋→(50分)ゲート→(15分)日原川下降点→吊り橋→ヤケト尾根支尾根取付→(1時間40分)ヤケト尾根1247m標高点→忌山尾根→(1時間25分)巳ノ戸谷


忌山尾根(いみやまおね)の下り始めは幅広のゆったりした雰囲気でしたが、いきなり急降下が始まりました。尾根がギューーッと絞られてくると左も右も降る雪で真っ白。ヤセ尾根をそのまま下っていければ問題なかったんですが。。。

おはようございます。奥多摩駅前からバスに乗り、東日原で下車。稲村岩を揺すれば雨か雪が落ちてきそうな曇天です。
小川谷橋を渡り左折して林道日原線へ。伊勢橋を渡り、八丁橋を渡り、天祖山への登山道を過ぎてすぐのゲートを抜け、
日原林道を緩やかに登りながら日原川の対岸にオハツ窪を見て、
巳ノ戸谷を見ると
ヤケト尾根に重そうな雲がかかっていました。ヤケト尾根オッコシ尾根を登ったとき以来で今回が3度目か4度目です。
ここから日原川に降りていきます。ザックから杖を出し、防寒着を押し込み、ちょと迷ってチェーンスパイクを装着。
しっかりした道が続きます。
788mの標高点を見上げたりもして
ヤセ尾根を歩いていくと桟道です。左手下に吊り橋が見えます。小さなくの字くの字で下っていきます。
鉄網の床は水面が見えて怖いです。チェーンスパイクを引っ掛けないようにカシャカシャと渡り、
ヤケト尾根の支尾根に取付きます。大きなくの字くの字で高度を上げていきます。
くの字くの字が終わると左右に日原川を見下ろせるヤセ尾根を歩いたりもします。このあたりから細かい雪が降ってきました。
ロープの張られたトラバース(山腹水平移動)道もあります。左手は激しく切れ落ちています。
ロープのないのっぺり気味のトラバースもあります。
オッコシ尾根を歩いたときはこんな崖っぷちのっぺり巻き道をどーしても歩けなくなって、引き返して尾根上を歩いて巻き道を高巻きました。巻き道を巻く巻返しです(ナンノコッチャ)。濃い藪のとんがった尾根で大変な思いをした記憶があります。
けれども今回はとくに恐怖感はなく、あっさりとのっぺり道を通過してちょっと登ると本尾根に乗りました。
標高1060m圏(以降、「標高」は省略)でしっかりした道が尾根を横断しています。右はオッコシ尾根方面へ向かい、
左は忌山尾根を乗越す下段経路(『奥多摩 登山詳細図(西編)』(吉備人出版)の記載)です。「あちらに進めばヤケト尾根を登らなくてすむし、忌山尾根を途中から降りられてずいぶんラク」などという白魔のささやきはもちろん無視。
けれども鷹ノ巣尾根の八丁山やお伊勢山はちょっと激しくなった雪の向こうににじんでしまい、なんとなく不穏な雰囲気です。
ヤケト尾根も雪に覆われつつあります。
ようやく1247mの標高点に到着。忌山尾根のてっぺんです。山ガールが湯気の出る甘酒を盆に載せて「ウェルカムドリンクをどうぞ」なんてことはなく、ただ雪が降っているだけ。山頂と言われればばそんな感じです。忌山ってここなんでしょうか。
甘酒のかわりにペットボトルに詰めてきた氷結ほうじ茶みたいな冷たいほうじ茶を飲んで忌山尾根を下ります。幅広い尾根ですが、形ははっきりしています。
グザリガザリと下っていきます。
1160m圏の分岐です。右へ。左は巳ノ戸谷出合に下っている尾根です。地形図を見るとこちらはこちらで興味深いです。
分岐を過ぎると右植林、左雑木になってかなりの急降下が始まりました。
下ってきて
右往左往しながら下ります。
1090mあたりでしっかりした道を横断し、
1030m圏でも横断。どちらかが下段経路なんでしょうがわかりません。右手下から水の流れる音が聞こえてきます。
どんどん尾根は絞られていきます。
この先で没する巳ノ戸谷のエリアは忌山の悪場という名前があります。短い急カーブに5つの滝が連続しています(らしい。見たことありません)。沢登りの目線から名付けられたんだと思うんですが、そんなところに降りていくなんてとんでもない話です。先人のルートを参考に尾根の右手に下れそうな尾根をうろうろ探します。左右は真っ白。1010m圏です。
踏み跡なの? みたいなやっぱり踏み跡? が見つかり、たどってみます。
たどっていくと右上からそこそこしっかりした踏み跡が下ってきました。もう少し上に下り口があったようです。気付きませんでした。
これはどー見てもヒトの意志が働いた道です。
小尾根に乗りました。下ります。
小尾根から巳ノ戸谷対岸のキリンボ尾根に向かってワイヤーがビンと張られていました。ワイヤーに雪が積もっていなかったらウグッてぶつかっていたかもしれません。
ワイヤーのすぐ先の鞍部から巳ノ戸谷を覗き込んでみると幅広の浅い谷がキツい角度で下っています。伐採した木を谷に落とした場所じゃないでしょうか。キリンボ尾根で伐採した木をワイヤーで吊るして谷を渡し、ここから巳ノ戸谷に滑り落とす、そんな豪快な山仕事が目に浮かびます。悪場に木が引っ掛かると身の軽い熊次郎がトビを器用に扱って下流に押し流したに違いありません。八「おーい、クマー、たのむー!」、熊「よしゃー!」
まっ、妄想はこれくらいにして落ち葉と土に埋もれたワイヤーでこの谷を下れないかと輪になったワイヤーを引っ張るも使える長さはせいぜい1mほど。ほかのワイヤーは引っ張るとぶちぶちとちぎれてしまいます。ここまで朽ちたワイヤーは初めて見ました。
輪になったワイヤーをつかみ、とりあえずすぐ下の狭い平場に立ちました。木を落とした谷は獣の足跡があるんですが傾斜がキツくちょっと下る気になりません。右隣の小さい谷に踏み跡らしいものがあったのでそちらを選択。
とんでもない急降下でした。落ち葉の下は地面だと思ったらズズズズと膝下まで沈んだりしました。もうあの鞍部に戻れそうにありません。
とにかくゆるい傾斜を探して巳ノ戸谷をめざしますがこの先はデンジャラスがにおいます。
木落とし谷側に向かうと左上の木の下で岩と根っこが階段状なっていました。ラッキーです。下って
木落とし谷を渡ってきました。
対岸のキリンボ尾根を眺めながらちょっと休憩。いったいどこから登ればいいんでしょうか。
倒木をつかめば巳ノ戸谷に降りられそうです。
巳ノ戸沢に降りました。これにて忌山尾根おしまいです。
巳ノ戸沢の上流方向。
下流方向。

鞍部から巳ノ戸谷に降ります。巳ノ戸谷に立ち、下ってきた忌山尾根、これから登るキリンボ尾根を見上げます。

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