奥多摩尾根歩き
眞光寺尾根、オウムソ尾根

(2/2)


月夜見山→オウムソ尾根→大ムソ山→(1時間40分)奥多摩湖いこいの路→山のふるさと村湖畔の道→(50分)麦山浮橋→深山橋→[GOAL](1時間20分)峰谷橋バス停→JR青梅線奥多摩駅


オウムソ尾根は1102m(大ムソ山)のピーク手前の道がかなりわかりづらかったです。地形図の登山道にはこだわらず、できるだけ尾根筋を下りました。なんとかなるでしょー、と向かった麦山浮橋。ゴールを目の前にしてまさかの撤退。

さあ、ここからオウムソ尾根です。月夜見第1駐車場方向に進みます。
何カ所かで通せん坊のように倒木が横たわっていましたが、幅の広いゆったりした道が続きます。
道中。
右(東)側が伐採されていていい景色です。手前から2つ目が眞光寺尾根のはずですがちゃんと見えません。
ものすごい斜度です。
いちばん奥に見えるのが長沢背稜で、その手前が石尾根だと思われます。
道標はあるんですが、肝心の道はうすらボンヤリしてきました。
尾根のちょっと下をトラバースするように進みます。尾根のてっぺんは擁壁のてっぺんで、あまり近づきたくありません。
道はほぼわかりません。
金魚みたいな形をした大きな鉄の塊が埋まりつつありました。
スマホGPSで位置確認。このあたり、尾根の形があやふやです。歩きたい尾根筋からかなり右に逸れていました。
朽ちかけた木の階段がポッコリしたピークに向かっているのが見えます。なんとか本来のコースに乗ったようです。
振り返るとこんな感じ。ねっ、道なんてわかんないですよね。
階段を上り詰めると大ムソ山という1102mのピークです。
山頂にはコケに浸食されつつあるベンチや渋い山名板があって、
林班界標や「秩父多摩国立公園(都有地) 東京都西部緑地公園事務所」と書かれた白い標柱が倒れていたりします。水を飲んで出発です。
尾根筋のベリリッと剥がれてしまった根っこたち。
尾根の右側は切れ落ち気味です。怖いので左に寄って下ります。
でっかいキノコを通過します。調べたところアカヤマドリというキノコにそっくりです。だとすればいろんな食べ方のできるおいしいキノコらしいです。今度見つけたらイチかバチか持って帰って食べてみようか、
などと思いながら下っていくと、
こぢんまりした神社がありました。天正18(1590)年に創建された横地神社という神社で、これは平成18(2006)年に建立されたもの。切り替え画像は前出の『小河内貯水池郷土小誌』に掲載されている横地社(横地神社 撮影年不明)。
『小河内貯水池郷土小誌』には横地社について「熱海の對岸、蛇澤の渓間に祀る細やかな祠である」(149ページ)とあります。ダム建設での水没、奥多摩周遊道路の建設などで移転を繰り返し、この地に祀ることになったらしい。
横地とは横地監物吉信(よこちけんもつよしのぶ)という武士のこと。天正18年の豊臣秀吉による小田原征伐の一環で北条氏照の八王子城が攻め込まれたときに本丸を守備した人物で、八王子城落城(武将や婦女子の自害で流された血は御主殿の滝を三日三晩にわたって赤く染めたという伝説があり、八王子城は全国的にも有名な心霊スポットになっている)後、小河内村の蛇沢に逃げのびたものの刀傷や槍傷は深く、切腹したと伝えられています。
急な階段を下りると奥多摩周遊道路です。道路を渡れば月夜見山第1駐車場です。ここでオウムソ尾根はいったん分断されます。
駐車場からの眺め。尾根やらピークに?マークがバラバラバラとばらまかれます。
これも。なじみ深いピークや尾根が見えている気はするんですが、やはり?マークがバラバラバラとばらまかれます。
これも。
これは案内板。
これは案内板とほぼ同じ方角です。?マークはグンと減りました。石尾根や長沢背稜を確認できました。
案内板の裏側には奥多摩湖の対岸に向けて超望遠レンズを据えたカメラマンが2名いました。名栗湖で見たカメラの放列と同じく、クマタカが狙いだそうです。「名栗湖はそこそこ出てくるけどここは滅多なことでは出ない。希少価値があるんだよ」とフフフと自嘲気味に笑っていました。で、案内板に向かって左側のこにのなんの目印もないあの窪みがオウムソ尾根の続きです。
下り始めはこんな感じ。
テキトーに下っていたんですが、なんかヘン。スマホGPSで確認すると、
目指すオウムソ尾根は右のあっちです。尾根筋をいきなり間違っていました。たまーにあるんですが、この「なんかヘン」というポコンと泡のように浮き上がってくる思いはいったいなんなんでしょう。
ドカドカと、
ズンズンとトラバースしてオウムソ尾根を目指します。
オウムソ尾根に乗りました。
イイ感じの尾根ですが、
激しく滑り落ちるデンジャラスゾーンもあります。
ヤセ尾根です。
連鎖反応を起こしたベリッと剥がれた根っこたち。
尾根の右側は崩落気味で、尾根筋にはベリッ候補が何本も並んでいました。
880m圏の意味ありげな場所。その意味をこれっぽっちも理解できずに通過するわたくしでした。
相合い傘じゃないカップル。「オイ、近づくんじゃないよ。濡れるだろ」となじる声が聞こえてきそうです。
歩いている尾根筋からはちょっと離れていますが、804mの標高点に立ち寄ってみました。とくになにもありません。
目指す尾根に戻ります。あの尾根です。
復帰しました。ドザドザドザという感じで下っていきます。
下ります。
下ってきて、
下ります。
地形図の登山道と合流します。
なだらかな尾根歩きです。
600mあたりで左に下る道と遭遇。地形図に記載されている登山道です。
右手を見上げると祠が見えます。
てっぺんには浅間祠が建っていました。祠は北東の熱海地区を向いています。同じ向きで水を飲みながらちょっと休憩しました。
尾根筋をそのまま下ります。これは祠から先の道中、よく見かけたラベルです。「マツガード」という松枯れ防止樹幹注入剤で処理したマツにパチンと留めるラベルのようです。
611mのピークかな? もう少し先が611mなのかはっきりしませんが、
コンクリートでできた何かわからない構造材が散らばっているヘンな場所です。
下って、
さらに下ります。湖面が見えてきました。
そろそろオウムソ尾根の下端です。
いこいの路がすぐソコです。
いこいの路に立ちました。あちらから下ってきました。これにてオウムソ尾根は終了、
と思ったら、いこいの路の向こう側に踏み跡が続いています。
ここがオウムソ尾根の下端です。オウムソ尾根はこれにておしまいです。この先は湖底に向かって沈んでいくばかりです。
同じ場所から上流方向を眺めた風景。はるか遠くには大菩薩嶺なんかが見えているはずです。
引き返します。
いこいの路に復帰。

次なる目的地、麦山浮橋に向かいます。

いこいの路はここでおしまいです(もう少し先の「奥多摩湖いこいの路」の大きな案内板までです 2010.9.23に修正)。ゲートはビシッと閉まっていましたが、錠のないかんぬきを外して通過できました。

いこいの路から先は山のふるさと村の湖畔の小道になります。そこそこガッチリしたゲートが設けられているのは、いこいの路は東京都水道局が管理し、湖畔の小道は都の建設局が奥多摩町に管理を委託しているため、というのがわたくしの解釈です。違うかな?

麦山浮橋に着きました。実はこの手前のゲートもビシッと閉じられていて、通行止め感がヒシヒシと感じられました。けれどもどーでしょー、これが台風で渡れない状況でしょうか。わたくしは再び自己責任の塊になってゲートをすり抜け、浮橋に乗りました。
ドワンユアンと揺れながら浮橋を歩きます。浮橋を渡りきり、正面の道路に上がればゴールの小河内バス停はすぐソコです。ところがとんでもないことが起こりました。対岸まであとほんの少しのところで立ち往生です。あまりのショックで写真を撮るのを忘れてしまいましたが、浮橋は10mほど分断されていて、こちらとあちらは頑丈そうなな布テープでつながれているものの、歩ける床がポッカリとありません。青く澄んだ水面がこちらとあちらをキッパリと別けへだてています。
撤退です。これぞ自己責任の醍醐味だ。などとよくわからないことをつぶやきながらドワンユアンと揺れながら浮橋を引き返します。
湖畔の小道も引き返し、この階段から奥多摩周遊道路に上がりました。

周遊道路を右へ。すぐ先の壁面から流れ出している三頭の名水を汲んで飲みます。とても冷たくておいしいです。でも気分は敗残兵です。小河内神社バス停に向かってトボトボテクテク歩きます。三頭山への登山口、奥多摩湖ロープウェイ(川野ロープウェイ)のみとうさんぐち(三頭山口)駅を見上げたり、三頭山橋、深山橋を渡り、川野トンネル、麦山橋を経てようやく小河内神社バス停に到着です。

麦山浮橋を見下ろします。あそこです。あの10mほどの浮橋の欠落のおかげでおおよそ4800mの距離を自動車やバイクにビビりながらトボトボテクテク歩くはめになってしまいました。自己責任の代償なのでしょうか? んっ、関係ないか?
まっ、とにかく、両コブシを強く握り締めて涙をにじませながら分断された浮橋を睨んでいると(イメージ)、都の職員でしょうか、隣の峰谷橋バス停からだともうすぐバスがありますよ、と教えてくれました。ハイカーを見つけると声をかけているとのことです。「申し訳なくて」という呟きが聞こえたような気がします。わたくしは勝手に「こんなベタ凪なのに通行止めにして申し訳ない」と解釈しました。「誰に命令されたわけでもないのにこういうかたもいらっしゃるんだなあ」とわたくしの勝手な解釈はレベルアップし、いこいの路や浮き橋の通行止めをお役所仕事だと糾弾したことをチョッピリ反省するのでした。
小河内神社バス停から短いトンネルを抜けるとすぐに峰谷橋です。ちなみに橋の名前は「みねだにはし」ですが、バス停の名前は「みねだにばし」です。どーでもいいですけど。
橋を渡りきると駐車場とトイレのある四阿があります。ちょっとややこしいのは、峰谷橋という同じ名前のバス停が橋の上と、この四阿の向かいの2カ所にあり、路線が異なるので発着時刻も異なることです。
バスがやってきました。
車窓から奥多摩湖バス停を激写。またね、奥多摩湖!
奥多摩の女(ひと)は暮れかけた空の向こうに隠れていました。
奥多摩駅横の広場では「オクターマーフェスト」というビアガーデン祭りが開かれていました。
コンビニで買った缶ビールを飲んだ後、オクターマーフェストのビールを飲みました。ハーブの香味を強く感じるおいしいビールでした。
この後、M氏と待ち合わせです。彼の釣り上げたばかりの魚(20から30cmほどのイワナ10匹。大漁でした)とわたくしの自家製ベーコンを交換します。
きょうも山の神様、地権者の皆様、ありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。