奥多摩尾根歩き
ネズミザス沢右岸尾根、カラ沢尾根

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今回はネズミザス沢右岸尾根を登り、カラ沢尾根に合流し、ネズミザス沢尾根に合流し、石尾根まで登りました。石尾根からは小中沢林道(三ノ木戸林道)を下り、奥多摩駅まで歩きました。クマの親子に出会ったりもしました。
ネズミザス沢右岸尾根はテキトーな名付けですが、そのまんまのネズミザス沢の右岸の尾根です。
※これまでネズミサスと表記してきましたが古い書籍なんかではことごとくネズミザスなので今後はザにします。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→(50分)ネズミザス沢右岸尾根取付→(55分)ネズミザス沢右岸尾根→(1時間35分)カラ沢尾根合流→(1時間20分)ネズミザス尾根合流→(45分)カラ沢丿頭(石尾根)→小中沢林道(三ノ木戸林道)→(3時間)[GOAL]JR青梅線奥多摩駅
(8時間25分)
歩いた日 2024年5月25日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→(50分)ネズミザス沢右岸尾根取付→(55分)ネズミザス沢右岸尾根→(1時間35分)カラ沢尾根合流


ネズミザス沢右岸尾根へのアプローチがちょっと難儀でした。日原川に降りてすぐの鷹ノ巣谷の渡渉に手間取りまくってしまいました。ザブザブと渡ってしまえば、それまでだったんですが。
おまけにネズミザス沢から右岸尾根へはそれはもう、久々の命あっての物種ルートでした。

おはようございます。東日原バス停です。これから登るネズミザス沢右岸尾根カラ沢尾根がばっちり見えているはず、です。どれでしょう。まっ、いいです。
鍾乳洞方面に5、6分歩いて黄色い手すりの階段を下ります。
日原川に架かる巳の戸橋を渡り、
道標から左へ下ると
すぐに日原川の河原に降りられます。ちょっと歩くと鷹ノ巣谷出合です。鷹ノ巣谷を渡りたいんですが水量や石と石の距離がわたくしのコンパスでは処理しきれません。
ちょっと上流に木橋が架かっています。渡れないらしいんですが、
やはり渡れません。薄い鉄板がでろんと被さっている丸太が1本です。鉄板も丸太も朽ちています。
踏み跡をたどってさらに上流へ。ここをなんとか渡ってきました。
渡ったはいいけれど右岸はそこそこデンジャラスです。左奥に渡れない橋が見えています。
デンジャラスゾーンを抜けると踏み跡が日原川に向かって下っています。
振り向くとネズミザス尾根です。ずいぶん前に登ったことがあります。
河原に復帰。
大岩が見えてきました。ボルダリングが行われている雨降岩のようでです。
岩陰に上半身裸の青年が端座していて驚きました。まるで修験者のようです。「こんにちは」と挨拶すると顔をこちらに向けぺこりとお辞儀。岩に取付く前の精神統一をしていたのでしょうか。三脚に据えたカメラ2台の前を横切りました。ひょっとして思いっきり邪魔をしたようです。すみません。
小さな滝の向こうの大岩が日原川にどぼんと没しています。この先は河原を歩けないのかな? メンドーなことになりそう、などと思いながらとにかく大岩まで行ってみることにしました。
岩の割れ目をよじ登れそうです。
岩の反対側です。まだ先に歩けます。
ここは岩を削った階段みたいです。そういえば左岸側にもそこそこしっかりした道がちらりちらりと見えていました。
ネズミザス沢に着きました。細ーい滝が落ちています。ネズミの尻尾みたいです。
すぐ下流の対岸に明らかに人の手が入っている岩がせり出しています。橋台のように見えます。
こちら側にも苔に覆われた橋台らしきものがありました。こんなところに橋が架かっていたんですね。しかもかなり大きな橋だと思います。
尻尾のすぐ右岸はとても取付けそうにないので尻尾と橋台の中間あたりから登り、右へ移動してネズミザス沢右岸尾根に近づくことにしました。ここでザックから杖を出し、チェーンスパイクを装着。
ぐーっと登ってきて
ネズミザス沢右岸尾根に立ちました。すぐ左手下が尻尾の滝です。
振り向き、ネズミザス沢右岸尾根を見上げます。ここからは登れません。
踏み跡に見える踏み跡らしきものがありました。選択の余地はありません。たどります。
回り込んでいくとすぐに崩落です。小さな崩落ですが先に進めません。
高巻き中です。これがまあなんというか、怖いのなんのって。落ちるとめちゃくちゃ急峻な谷を転げて尻尾の先で振り落とされます。
見上げると岩の割れ目に枯れた枝葉や腐植土が詰まって狭い通路のようになっています。あそこを登るか、そーとー迷いました。
けれどもやはり踏み跡に戻ることにします。通路の「その先」がまったく読めません。木につかまりながら下り、
踏み跡に復帰。
復帰はしたものの、やがて踏み跡は岩ゴロゴロの谷に吸収されてしまいました。このあたりから谷の勾配はゆるくなり、幅は広がります。
左手のネズミザス沢右岸尾根。岩壁がばーんとそびえています。
取付けそうな場所を探しながら谷に近い山腹をテキトーに歩いていきます。上流に植林帯が見えました。植林の中に入れば危険度は少なくそこそこ楽ちんに尾根上に登れるはずですが、それでは面白くありません。
対岸の石積。仕事道だったんでしょうか。
キビシいトラバース(山腹水平移動)が続いています。取付点が見つからず、植林が近づいてきました。
小さな崩落地を越え、
なんだかそそられる岩崖の下を通過し、
ここから尾根上をめざすことにしました。
必死のルーツファインディング(登攀を支持する木の根を探ること)で登ってきて
登ります。
軍手を土だらけにして、というか土が軍手だらけにたいになって登ってきて
ようやくネズミザス沢右岸尾根に立ちました。ヤセ尾根です。急登です。

ネズミザス沢出合からネズミザス沢右岸尾根の稜線に立つまでの短い動画。
ロープが張られていました。つかんで登るため、というよりは
こちらは危険、のロープなのでしょう。かなりそーとー危険です。
標高660m(以降「標高」は省略)あたりから植林に囲まれ、勾配は一段とキツくなりました。
ちょっぴり開けた場所に出て、見えづらいですが、あっちを守っているのかこっちを守っているのか、防獣ネットと合流しました。760m圏です。
日原の集落や採石場が見えました。ザックを降ろしてちょっと休憩。
防獣ネットはすぐに尾根の向こうに曲がっていきました。
登っていくと左手下の小尾根で真っ黒なものが動いています。クマです。尾根右にちょっと下り、デジカメの録画ボタンを押してそろりそろりと尾根上に登りました。まじまじとクマを見られたのは三頭山中尾根を登った2019年以来です。最初は傾いた木に立っていたんですが座り込みました。こちらをジーッと見たりチラリと見たり小尾根を見上げたりしますが、腰を下ろしたままで動きません。850m圏です。

やがて小尾根の上から小さなクマが下ってきました。親グマが子グマを待っていたようです。子グマが傾いた倒木をとてとてとてと下ってくると、親子そろってゆっくりとカラ沢尾根のほうへ歩いていきました。
2頭が見えなくなって尾根歩き再開です。んっ!? これからこの上でカラ沢尾根に合流するんだよね。出合い頭にクマの親子にぶつかる、なんてことはないよね、ね。
空との境い目がカラ沢尾根のはずです。
ワイヤーが木や岩に巻かれていました。伐採木をネズミザス沢に落とし、日原川に流したワイヤーでしょうか。
登ってきて
カラ沢尾根に合流しました。これにてネズミザス沢右岸尾根はおしまいです。苦労して登ってきたのでなにかがあってもよさそうなものですが地味な場所です。1020mあたりです。