奥多摩尾根歩き
巳ノ戸沢右岸尾根、稲村岩尾根


今回は日原の巳ノ戸沢(みのとさわ)から巳ノ戸沢右岸尾根を登り、稲村岩尾根を下りました。
巳ノ戸沢右岸尾根はちょっと強引なテキトーな名付けです。名前がないと話を進めづらいのでこう呼びます。稲村岩尾根1330m圏北東尾根とでも呼んだほうがわかりやすいかもしれませんがちょっと長いので巳ノ戸沢右岸尾根とします。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→荒れた巳ノ戸沢・巳ノ戸林道→(2時間45分)巳ノ戸沢右岸尾根取付→巳ノ戸沢右岸尾根→(1時間50分)稲村岩尾根1330m圏→稲村岩尾根→(2時間20分)[GOAL]東日原バス停→大沢バス停→JR青梅線奥多摩駅
(6時間55分)
歩いた日 2024年4月6日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

巳ノ戸沢右岸尾根へのアプローチは巳ノ戸林道をたどったんですが道なんかありゃしません。土砂崩れで道は分断に次ぐ分断。予想よりとてつもなく時間がかかってしまいました。
取付は分厚い落ち葉とその下の滑る岩や粘土に足を取られまくり、尾根上はほぼ急登が続きました。自然林を背負った美しい尾根で周りの山並みもさぞかし、のはずだったんですが濃い霧に覆われて上下左右まっ白でした。
※上のログは実際と異なります。わたくしのスマホGPSは深い谷や岩崖のそばなんかでは激しく乱れます。こんな瞬間移動はできません。

おはようございます。東日原バス停から鍾乳洞方向に歩き、ここから日原川に降りていきます。
巳の戸橋を渡ります。水量は多く音は大きく流れは速いです。
ロープの向こうへ。
人家跡、墓、巳ノ戸尾根に向かう道にもロープが張られています。
稲村岩を守る城壁のような堰堤が見えてきました。
堰堤を越えたとたんに登山道はあやふやに。
テキトーに巳ノ戸沢を歩きます。
右上(左岸)に登山道らしきものが見えたので登ってたどったはいいものの
土砂崩れで道は消失。
高巻きは嫌、無理。
引き返して沢に降りることにします。
先ほどの道がなくなった場所を見上げながら通過。
ようやく左岸の道に復帰したんですがまた消失。
ここは高巻きます。
トラバース(山腹水平移動)しやすい場所を探しながら登っているとずいぶん高くまできてしまいました。
のっぺりの急傾斜でかなり怖い場所もあります。
下に道らしきものが見えたのでじわじわ下っていきます。
道はまたまた消失。
下巻きで復帰すると倒木に黄テープ。この先はずいぶん歩きやすそうです。
倒壊した小屋を通過します。
また沢を歩くことになりました。
大崩落したあの上からや
上流からの倒木がどっさり集まって絡まってその隙間をくぐり抜け、
ワサビ田跡を歩きます。
右岸に石積が見えました。道でしょう。登ります。
ようやくめざす巳ノ戸沢右岸尾根が見えてきました。が、ただの岩壁です。こんなところからはとてもじゃないけれど取付けません。
あやふやな道を先に進み、尾根を回り込みます。んー、まだ崖です。取付けません。
振り返ってみたものの、やはり取付けそうな場所はありません。
さらに進んでみます。正面にゆるめの斜面が見えてきました。あそこなら取付けそうです。右の岩を回り込むと
対岸に赤テープがあって
細い流れになった巳ノ戸沢をまたぎます。
どこかに架かっていた橋か桟道が朽ちています。
沢をまたいですぐ左手のこの支尾根を登れば
あの本尾根に乗れるはず。地形図はそう教えてくれています。
赤テープのある巳ノ戸林道をはなれ、支尾根を登ってきました。急斜面に30cmほど落ち葉が積もり、その下のめちゃくちゃ滑る岩や粘土に足場は定まらず、落ち葉を掘り返してルーツファインディング(登攀を支持する木の根を探ること)したり、そーとー消耗してしまいました。
まだ上があります。
急斜面の向こうに本尾根がちらりと見えています。
登ってきて
980m圏で本尾根に立ちました。
尾根の下方。あの先でじょじょに傾斜が増し、ほぼ垂直な岩崖に続くはずです。
登ります。そこそこの勾配です。
霧に包まれて
ずーっと代わり映えのしない尾根姿が続いていたんですが、
イベントです。左右から登ってきた尾根と合流しそうです。
合流点あたりに水道局の標石が埋まっていました。こんな地味な尾根なのにちょっと驚きました。この後もぽつりぽつりと標石は続きます。標高1130m圏(以降「標高」は省略)です。
いつの間にか左右から登ってきた尾根と合流していて、キツい勾配を登ってきて
1200m圏でゆるやかになり
新品の断面を通過します。
1260m圏で道? みたいな道が尾根を横切り、
あちらから登ってきて、これといった前触れもなく稲村岩尾根の登山道にぶつかりました。
ほんのちょっと稲村岩尾根を登り、木の根っこがベリリと大きく剥がれた1330m圏をもって巳ノ戸沢右岸尾根はおしまいとします。
根っこが剥がれた木の梢はカイキ尾根をさしています。ここから鷹ノ巣谷の大滝あたりに下っている尾根です。実は今回の計画は、巳ノ戸沢右岸尾根を登り、カイキ尾根を下り、鷹ノ巣山中尾根(金左小屋窪小六谷中間尾根)を登るというものでした。けれども巳ノ戸林道で時間と体力を使いすぎ、なんだか気力も萎え気味です。稲村岩尾根を下ることにしました。
切り替え画像は『奥多摩』(宮内敏雄 昭和刊行会 昭和19)の6ページより引用。
相変わらずの霧です。巳ノ戸沢右岸尾根への下降点を過ぎ、
植林と接したり
支尾根といっしょにはなれていく植林をみおくったりして、どんどん高度を下げていって、
尾根は稲村岩の後衛みたいな岩稜にぶつかります。
せっかくだから、と稲村岩の祠をめざしたんですがてっぺんを眺めるだけにして途中で撤退。きょうはなんだか「無理しないほうがいい」警報が出まくっています。
岩から降り、巳ノ戸沢に下ります。いきなりの急降下を終えると
ゆるい下りになったりもしますが、ほぼそこそこキツい傾斜の道が続き、
沢をさかのぼっているときに通過した潰れた小屋が見えたりして
くの字くの字の急降下から
巳ノ戸沢に降りてきました。行きは対岸の山腹を高巻きしたのでこの道標は見ていません。おそらく高巻きは無駄です。沢のテキトーなところを歩くのが吉だと思います。
右岸の踏み跡をたどります。
テキトーに
歩きやすい
ところを選びながら下ります。ルートの目印なのでしょうか。ケルンをぽつりぽつり見かけます。
倒れた道標。
テキトーに
以下同文。
堰堤に着くととりあえずひと安心です。
ロープをくぐります。
日原川と鷹ノ巣谷の出合でアベックがテントを張っていました。
東日原バス停に着いたら次発まで小一時間。杖や軍手をザックにしまい、奥多摩駅に向かって歩くことにしました。
バスに乗るたびに気になっている「岩松尾根」。いつかちゃんと時間をとってどこかにあるのかないのか調べたいと思っています。
大沢バス停です。数人のパーティを追いかけるように奥多摩駅行きのバスが坂道を登ってきました。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。巳ノ戸沢の荒れっぷりには驚かされましたが無事に帰ってくることができました。また、よろしくお願いします。
※わたくしの人生で誰かの子分(ある人の支配下にあって服従する者。手下。)になったことは一切ありません。